訪問診療
歯の健康を保つには、日々のケアはもちろん、歯科医による定期検診や治療を受ける必要があります。しかしながら、健康上の理由などで歯科医院への通院が困難な方も多くいらっしゃいます。
訪問歯科診療では、そのような方にも安心して治療を受けていただけます。
訪問診療の目標
おいしく食べられる口腔を維持すること。
そのためには、虫歯治療や入れ歯作製・修理だけでなく摂食嚥下機能への支援(訓練など)を行うことがとても重要となります。
高齢者にみられる摂食嚥下機能の問題点
- 嚥下と呼吸のタイミングが合わず、むせてしまう
- 唾液の分泌量が減る
- 咀嚼力が低下する
- 喉頭の位置が下がる
- 嚥下反射が起こりにくくなる
私たちが普通に摂っていた食事が摂れなくなる原因としては、脳血管疾患、神経・筋疾患、廃用性萎縮(絶食や寝たきりによって起こる)、精神・心理的問題、器質的異常・変化(口腔咽頭領域の腫瘍のオペ後)などがあげられます。
また、服用薬によって、誤嚥のリスクが上がったり、唾液の分泌が低下したり、嚥下反射が起こりにくくなったりすることもあります。
このように、「食物を以前のように普通に食べられなくなった」という訴えの裏には、さまざまな要因があります。
訪問診療の際は、特に患者様の全身の状態、生活環境等を考慮し少しでもお食事を楽しめるよう、支援していきたいと思っております。
訪問歯科診療とは?
訪問歯科診療は、歯科医院への通院が難しい患者様のために、歯科医師や歯科衛生士が自宅や施設を訪問して、歯の治療や入れ歯の作製・修理、口腔機能低下に対する治療等を行います。
通院困難な状態である方ほど、虫歯や入れ歯トラブル、口内炎、口腔内の痛みで困ることもあると思います。
こうした悩みの患者様宅にお邪魔して、歯科医や歯科衛生士が治療を行います。
訪問歯科診療が保険適応となるのは、歯科医院から診療場所(患者様のご自宅や施設)までが、半径16km圏内にある場合のみとなります。
また、訪問歯科診療の訪問先は、患者様が居住している場所に限られます。
よって、実際に患者さんが普段寝泊まりしている場所が含まれ、居宅と施設の2種類が対象となります。
居宅とは自宅や老人ホーム、ケアハウス、グループホーム、高齢者向け住宅などを指します。
施設は介護老人福祉施設、介護老人保健施設、地域密着型介護老人福祉施設、短期入所生活介護の入所施設、歯科のない病院や診療所などが含まれます。
※デイサービスやデイケアは患者さんが普段寝泊まりしている場所とはならないため、訪問歯科診療を依頼することはできません。
訪問歯科診療にかかる費用
訪問歯科診療では下記の費用がかかりますが、医療保険や介護保険が適用されるので、患者様の負担は通常の保険の負担割合と同様に「1~3割」となります。なお、障害者保険証を所持している方や生活保護を受給している方の場合は、各市町村の定める減免と同じ扱いを受けることが可能です。
- 歯科訪問診療費(訪問診療代)
- 検査や治療費(虫歯や歯周病治療、入れ歯の作成など)
- 指導料(口腔内のお手入れ方法など)
訪問歯科診療の受診までの流れ
- 電話でお申し込みをお願いします。
- お申し込み後、患者さんの症状や要望に合わせて歯科医と訪問日を決めます。
- 訪問日当日は、問診を行い、治療内容や期間、費用についての説明をいたします。
- 患者様が治療内容に同意されると、診療がスタートします。
訪問歯科診療を受診する際の準備について
- 健康保険証
- 介護保険証や福祉医療受給者証
- 現在飲んでいる薬がある方は、お薬手帳
- 現在治療中の方は、かかりつけの病院名と担当医のお名前をお聞かせください
- 生活保護受給者の場合は、医療費の減免を受けるためには医療券の事前確認